岩田 恵さんのご家族は、築30年の自宅のリノベーションを行いました。娘婿のヒロさんご夫妻と、30年先を見据えた家づくりを構想。断熱性能が高いことはもちろんのこと、家族の想いやこだわりのつまった家が完成しました。3世代で暮らす岩田さんの家を訪ね、住み心地や日常の豊かさについて聞きました。
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白石:恵さんは、私が高校生のころからの知り合いです。テニスのコーチに来てくださっていたのを覚えていますよ。
岩田さん:僕は白石の叔父さんとも仲が良かったんだよね。
白石:今年の夏には大阪万博でも、偶然出会いましたね。
奥様:勤め先の家具製作所がインド館の家具を作らせてもらったので、家族で入場の順番待ちをしていたんです。そのときに、白石さんたちも通られて。
ヒロさん:そうそう、あれはすごかった。20万人以上いる会場で、たまたま会うなんて驚きましたね。
白石:不思議な縁ですよね。私は人とのつながりを大切にしながら、同時に家の性能・豊かさを実現したいんです。今日は岩田さんご家族に、家が完成するまでの経緯や、暮らしで大切に感じていることを聞いてみたいなと思っています。

断熱性能とこだわりのポーターズペイント。秘密基地をつくるみたいにワクワクした
白石:家づくりをしようと考え始めたきっかけは何でしたか?
ヒロさん:お父さんとお母さんが住む家の裏に、僕たち夫婦と子どもが住む離れを建てようと計画していたんです。でも将来、母屋が空き家になっちゃうのはもったいないと思って。せっかくならあるものを活かして、高性能な家にリノベーションしたほうが絶対にいい。そうすれば家族が快適に過ごせますから。
白石:最初は、住み継ぎセミナーに来てくれましたね。
ヒロさん:お母さんの勤め先に届いた白石さんのセミナーのチラシを見せてもらって、「話だけ聞きに行きましょうか」と、家族で参加することにしたんです。
白石:恵さんも私に内緒で来てくれていました。
岩田さん:白石が設計をしていることは、前から聞いとったけど、具体的に何をしているかは、そのときまで知らなかったんだ。

ヒロさん:セミナーで、ポーターズペイントっていう壁のサンプルを目にしました。特殊な塗り壁なんですけど、僕はオーストラリアの自然塗料の色がすごく好きなんです。でも鳥取では施工できる業者さんが、あまりいらっしゃらないのかなと思っていて。白石さんに「取り扱いされているんですか?」と聞くと、「やりますよ」と言ってくださった。
それに、家の性能についてのお話もされたんです。僕は基準として、断熱基準HEAT20のG2クラスの性能がほしいと考えていました。車に乗るときに、何馬力、何トルクで走るかっていう走行感を気にするじゃないですか。家も同じで、断熱の性能や住みやすさが大切だと思うんです。
岩田さん:ヒロさんは、瀬戸内海の近くで育ったから、より鳥取の寒さを感じるのかもしれない。それが家の性能を求めることにつながったんだよね。
ヒロさん:広島出身なんで、僕にとって鳥取の冬は寒すぎるんです。だから断熱にはこだわりたくて、絶対譲れない基準がありました。
白石:断熱・気密の性能は、いま家づくりで一番大事にしてるポイントなんです。
ヒロさん:求めてるものと、提案してくれるものとがマッチしたことは、大きかったですね。白石さんは「これをやるから、ちゃんと断熱性能が保てます」と説明されるので、こちらも「それだったら、安心します」って応答できる。「リノベーションするなら、ここだわ」と、家づくりをお願いすることに決めたんです。
白石さんはリノベーション前に家を見に来られて、「この家はおもちゃ箱みたいですね」って表現してくださいましたね。
白石:恵さんのプラモデルや漫画、音響設備、それにヒロさんご夫妻の趣味のボードゲームがいっぱい置いてあるのを見て、そう感じたんです。
ヒロさん:「おもちゃ箱」って表現は、正解だと思ったんです。僕は仕事に関わるIT系の設備を充実させたいですし、遊ぶのも好きなんでゲームをたくさん置きたくて。暮らす人の趣味や考え方のイメージを持ってくださっている方と、言葉のキャッチボールができるのは、すごく嬉しい。一緒に秘密基地を計画するような感じで、ワクワクしながら、家づくりができたのが楽しかったですね。

会話のラリーが生みだす「提案住宅」。理想の家にするために
ヒロさん:リノベーションが実際に始まって、図面通りに撤去できない柱が見つかったときに、白石さんは「この柱は取れないです」とはっきりと言ってくれた。そんなふうにプロの視点で判断してくれる業者さんが、僕は好きなんです。
白石:しらいし設計室は、注文住宅ではなく、提案住宅を作りたいと考えています。だから要望を聞きながら、「こうしたらどうですか」といった会話のラリーを続けたいんです。岩田さんともたくさんやり取りをしましたね。
ヒロさん:「こうがいいです」「それは難しいです」「わかりました。じゃあ、こうはどうです?」「それなら行けます」って、対話が成り立つのは良かったですね。僕はフィードバックがほしいタイプなので。
それに白石さんは、カラフルな色使いや遊び心を取り入れさせてくれました。憧れていたポーターズペイントも、様々な壁や天井に使うことができたんです。

白石:ポーターズペイントをワンポイントで入れたことはあったのですが、これほどたくさん使わせてもらうのは2度目の経験でした。岩田さんには、10年前に施工したポーターズペイントの家にも見学に来てもらいましたよね。
ヒロさん:ポーターズペイントの水色が目に入ったら、「おっ」と新鮮な感覚がしますよね。
ほかにも、子どもが勉強するのには暗いかなって思ったので、ライトの数を増やしてもらったり、お母さんのこだわりで、洗面台の壁紙に水に強い素材を取り入れる範囲を広くしたり。内装の色決めも、家族みんなで色見本を見せてもらって決めました。細かな調整を受けてもらえたのは嬉しかったです。
白石:お話を聞きながら「これを取り入れたとすると、増加費用がこのくらいになりますよ」と、常に見積もりを出して、納得してもらいながら進めることができましたね。
ヒロさん:より良い家づくりがしたかったから、費用については僕からも提案するようにしていましたしね。ここを削って、この色のコンセントに変えたら、いくらになりますか?」「これぐらい費用が増します」「じゃあ、それでやってください」っていう感じで。
白石:岩田さんご家族は、私の相棒の橋本くんにも、相談してくれました。私たちは住宅メーカーじゃないので、「ここからはオプションです」と扱いを分けることなく、やり取りを積み重ねているんです。「2人で関わらせてもらえて良かった」と感じながら、家づくりに向き合っていました。
岩田さん:白石には、希望を言いやすいんだ。知らない間柄じゃないからね。
生活の小さなストレスを減らすと、日常はもっと豊かになる
白石:12月に入って、家の住み心地はどうですか?
奥様:リノベーション前とは、暖かさがまったく違います。家の中が暖かいから、外も寒くないだろうと思って、薄手のジャケットで出かけようとしちゃうこともあるくらいです。
お昼に家に戻ってみると、エアコンを消しているのに、朝、部屋を暖めたときの温もりが残っていて。お昼に1時間だけエアコンを付けて、夕方に帰ったときも、まだあったかいんです。

白石:1回エアコンをつけて家の中の温度を上げれば、数時間、暖かさを保てるんです。
ヒロさん:床暖房はしていないけど、床下に断熱材が入っているから、冷たくない。お父さんは、リビングの床によく寝転んでいますよね。
岩田さん:木が無垢だからぬくもりがあって、床に寝そべっても、あったかい。ソファーは、柔らかすぎてダメなんだけどね。この硬い床の上に、ゴロンと横になるのが、心地いいんだ。
ヒロさん:塗料の冷たさがないから、スリッパを履かなくても歩けるんですよ。それって、子どものためにもなる。素足で走り回れますから。
白石:「前に比べて、格段に暖かくなった」と体感してもらえる、そこにリノベーションの一番のやりがいを感じているんです。1階に断熱材を入れて気密を高めると、場合によっては、2階に熱が上がらなくなるパターンもあるんですけど…..。
奥様:2階も寒くないですよ。階段の扉を開けると、1階の暖かい空気が、一気に2階に流れていって。
岩田さん:僕は2階で寝ているんだけど、今朝起きてみると、布団をはねのけとった。十分あったかいからね。
白石:2階の窓の断熱もさせてもらって、屋根裏には大工さんたちと一緒に断熱材を敷き詰めました。だから性能は確かに上がってると思います。夏の暑さはどうですか?

奥様:夏もエアコン1台で、過ごしていますよ。朝、窓を開けたら涼しい空気が入ってきて。
岩田さん:それに、雨が降っても雨音が聞こえないほど、家の中が静か。家の前の道をトラックがガンガン通っていくんだけど、その音も全然聞こえないくらい。
白石:気密・断熱性能を高めたことで、二次的な効果も生まれたんですね。
ヒロさん:僕は、生活の中のちっちゃな苦しみを減らすことが、人生において大事なことだと思っているんです。例えば、朝起きたときに寒いのも、なかなか温まらないのも、ちょっとしたストレスになるじゃないですか。
そんな潜在意識の中にある日常のイライラを解決することによって、QOLを上げ、生活を便利にしていく。氷山の下に隠れているような困り事をちゃんと見つめることが、豊かな日常につながるんじゃないかと思うんです。

バリアフリー設計とDIY。暮らしながら、家族で家を育てていく
白石:家を作ると決めたとき、今後のライフステージの変化を意識していましたか?
ヒロさん:バリアフリーにしようと当初から考えていました。まだ子どもが小さく、階段から落ちると危ないので、僕たち夫婦が1階に住んで、2階にお父さんとお母さんに住んでもらっています。子どもが大きくなったら、お父さんとお母さんに1階に移ってもらって、老後を豊かに過ごしてほしいと思っているんです。
奥様:バリアフリーの大切さを強く感じるようになったのは、おばあちゃんの在宅介護が大きかったな。
岩田さん:前の家もなるべく段差を少なくしていたけど、昔は和室には段差があるものとされていたし、上吊り式のドアやバリアフリーのシステム自体が珍しかったからね。今の家は全くひっかかるところがなくなって、住みやすいね。


奥様:「いつかまた、ここで介護する日が来るのかもしれない」って考えて、なるべくトイレの位置とお風呂の位置を近くして、動線も確保しているんです。
ヒロさん:これから30年間使い続けられる性能にすることが、家づくりのテーマでした。それにバリアフリーにしたら、ルンバがちゃんと走って掃除してくれるんですよ!

白石:設計の話し合いで「ルンバ計画」を立てましたね。ご家族で暮らしながら、自分たちの家を育てる楽しみは、これからも続いていきますよ。
ヒロさん:キッチンの壁に「バシャと水をこぼしちゃった」「子どもが鉛筆で線を書いちゃった」ってこともあるけど、その跡が残っていくことも良いかなって。愛着が湧いてきますよね。
実はポーターズペイントは、講習を受けた人しか購入できないんですよ。だから、僕も講習を受けて、いつか自分で壁を塗り直してもいいなって思っています。
白石:家を、次の世代に住み継ぐことも考えていますか?
ヒロさん:子どもが将来、どこで生活するかはわからないけど、この家が心の拠りどころになるんじゃないかな。
「世界に羽ばたきます」「東京で働きます」と決めたときにも、帰ってこられるふるさと、心のアンカーを下ろせる場所があるのは大事ですよね。「ここが家です」と、ホームに戻れる大事さを、全国転勤する仕事をしている僕も実感しているんです。

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ポーターズペイントや家族の好きなものが詰まった住まい。断熱性能やバリアフリーにも気を配ったことで、日々を心地よく過ごすこともできます。この場所で豊かな日常を積み重ね、心の拠りどころをつくっていく。岩田さんの家は、未来への楽しい予感に溢れています。

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